映画監督ミロシュ・フォアマンが逝った。
「カッコーの巣の上で」(1975)を観たのは高校生の頃。
ジャック・ニコルソンを見て、この人は本当に犯罪者だと思った。
看護婦長のルイーズ・フレッチャーの冷血ぶりに、この人は本当に異常者だと思った。
二人はこの演技で1975年のアカデミー賞主演男優・主演女優賞を受賞した。
同時に、作品賞・監督賞・脚色賞も受賞している。
自然光に近い照明にこだわった18世紀のヨーロッパの描き方は見事としか言いようがない。音楽という翼に乗ってモーツァルトは躍動し、サリエリは暗躍する。
Amadeus (1984) Official Trailer - F. Murray Abraham, Mozart Drama Movie HD
モーツァルト役のトム・ハルスとサリエリ役のモーリー・エイブラハムがともにアカデミー主演男優賞にノミネートされ、モーリー・エイブラハムが受賞。
ミロシュ・フォアマンは二度目の監督賞を受賞した。
ミロシュ・フォアマンの全ての映画を観たわけじゃないし、アカデミー賞を取ったことで特別視するわけでもないけれど、彼の映画の画面からはずっしりとした「重み」が感じられるのだ。それは、そもそもドキュメンタリー風の作品を得意とすることに由来するのか。もちろん画面の「重み」なんて抽象的な感じ方だからあてにはならない。
僕はそう感じる、というだけのことであり、そしてその感じが好きだったというだけのことだ。
そう感じさせる監督がまた一人いなくなってしまった。
さよなら、ミロシュ・フォアマン。