メリー・ポピンズは帰ってきたが

前作「メリー・ポピンズ」の日本公開は1965年(製作は1964年)だから今から54年前。

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余談になるがこの年のアカデミー賞で作品賞を受賞したのはマイ・フェア・レディで、主演はもちろんオードリー・ヘプバーン。しかし、主演女優賞を受賞したのは「メリー・ポピンズ」が映画初出演だったジュリー・アンドリュースだった。

そのジュリー・アンドリュースは、舞台版の「マイ・フェア・レディ」で主役イライザを演じて好評を博していたのだが、映画版「マイ・フェア・レディ」での主演は興行的に確実に成功させるという制作側の意図のためにすでに大スターだったオードリーが演じることになった。しかしオードリーは主演女優賞のノミネートにも入らず、ジュリーは「メリー・ポピンズ」でみごとオスカーを手にした。

そんな「大人の事情」はともかくとして、「メリー・ポピンズ」は実写とアニメの見事な合成による映像とジュリー・アンドリュースが歌うすぐれた挿入歌に溢れた名作となった。

さらに余談をいうと映画「ウォルトディズニーの約束」では「メリー・ポピンズ」の映画化を切望していたディズニーが、映画化を頑なに拒否していた原作者パメラ・トラヴァースを説得し続け、映画化にこぎつけるまでを描いていて、とてもいい映画だった。

 

本題。

「リターンズ」は前作に対するオマージュに満ち溢れた映画だった。

ディズニーのスタッフには前作を超えるものを作ろうという気持ちはサラサラなかったんだろうと思う。その意味で「メリー・ポピンズ」への愛に満ちた映画だった。

アニメとの合成の場面も今の技術をもってすれば

前作「メリー・ポピンズ」の多くの歌がなぜ今でも愛されているのか。

ざっと思い出すだけで

♪チムチムチェリー

♪鳩に2ペンスを(この曲が僕は一番好きだ)

♪スーパーカリフラエクスピアリドゥーシャス(?)

♪スプーン一杯の砂糖だけで

♪曲名はわからないが、屋根の上で煙突掃除夫達が踊り歌うやつ

♪凧を上げよう(?)

等々。

 

もちろん映画そのものの大ヒットで多くの人に膾炙したのだろうし、それぞれの楽曲が素晴らしいからなんだろうけど、今回の「リターンズ」が大ヒットしたとしても、その中の曲がとてもよくても、前作の曲ほど有名になりうるのだろうか。

正直言うと、「リターンズ」で歌われた曲のひとつも思い出せないのだ。

前作を54年の間に10回以上は観ていると思うので、「リターンズ」もそれくらい見れば記憶に残るのだろうか。

現代の音楽業界(流通、再生方法)が50年前のそれとは大きく違っていることが大きな要因となって「リターンズ」の楽曲たちの前に立ち塞がっている気がする。

 

繰り返すけれど、前作へのオマージュに溢れて50年余を経てバンクス家に再び現れたメリー・ポピンズが、更に他の家にも現れるようなことにはならぬよう願いたい。

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