クラシック音楽を聴き始めてざっと50年ほど経つが若い頃に聴き込んだものが未だに最高だと思うものがいくつかある。
たとえばモーツアルトの25番と40番はアーノンクール指揮アムステルダム・コンセルヘボウの1983年版。グルーヴ感が素晴らしい。
モーツァルト: 交響曲 第25番 ト短調 K.183 アーノンクール 1983
たとえばストラヴィンスキーの「春の祭典」はコリン・デイヴィスとこれまたコンセルヘボウの1976年版。精密でありながら熱狂感が素晴らしい。
ストラヴィンスキー: バレエ《春の祭典》デイヴィス 1976
たとえばフォーレの「レクイエム」ならミシェル・コルボ指揮ベルン交響楽団の1972年版。
これは女声部を聖歌隊が歌っていて、ソプラノソロもボーイソプラノだ。
バリトンのフッテンロッハーは誠実な歌声で、数あるフォーレクの演奏の中で模範的と言えるのではないか。
フォーレ 「レクィエム」 ニ短調 作品48 ミシェル・コルボ / ベルン交響楽団 Fauré〈Requiem〉
ブラームスの1番。
サイトウ・キネン・オーケストラの1992年に松本で行われた天覧(もちろん昭和天皇だ)演奏会のライヴが凄い。
小澤征爾の指揮とオケが混然一体となって凄まじいエネルギーを感じさせる。
小澤さんの前に譜面台は置いてあるが、譜面は置かれていない。せめて汗拭くタオルでも置いておけばよいのにと要らぬことを思いつつ。
今は亡きコンサートマスターの潮田益子(うしおだますこ)さんのかっこいいこと!(特に第2楽章)
そして僕の高校の同級生である小山大作君(ファゴット)が元気な姿を見せてくれているのも嬉しい。
齋藤秀雄氏の教えを引き継いできた日本の演奏家たちの、そのステージにサイトウキネンの一員として乗っているという矜持が溢れているようにも見える。
途中、CMが入るが我慢して最後まで見てほしい。僕は涙を抑えきれなかった。
で、この記事を書き出した理由は次の「ボレロ」だ。
1968年録音のシャルル・ミュンシュ指揮パリ管弦楽団の演奏がとても端正で大好きだった。
それは今でも変わらないのだが、最近YouTubeで見たゲルギエフ/ロンドンフィルの「ボレロ」が本当に素晴らしい。
「ボレロ」だから全てはエンディングのカタルシスまでをどうもっていくかが勝負。
まあ、名曲なんで大概の演奏でもそれなりに満足するのだけれど、この演奏はまさに全体を通しての構成力がすばらしく精密、エネルギーを貯めに貯めこんでラストに向かうのだ。なんという爽快感!
ということで、昔からこれが一番と思っていたものが覆されたりするのも再現芸術であるクラシックの妙でしょう。
でも、しつこいようだがミュンシュも大好き。