2020年の映画を振りかえってみたりする~その⑧

🎬「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」83点(B上)

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ミッシング・リンクとは・・・

生物の進化過程を連なる鎖として見た時に、連続性が欠けた部分(間隙)を指し[1]、祖先群と子孫群の間にいるであろう進化の中間期にあたる生物・化石が見つかっていない状況を指す語。失われた環とも。


というなかなか学術的な意味合いで、ダーウィンの「進化論」からの派生概念だそうです。
ストップモーションアニメの最先端を行くスタジオ・ライカによる映像は一コマ一コマが絵画のように美しく、「手作り」感のあるぬくもりに溢れています。これを「コマ撮り」した!途方もない制作過程が窺い知れます。

ちょっとメイキング映像を見てみると。


映画「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」メイキング映像


前にCATVでたまたま同じライカ作品(監督も同じクリス・バトラー)の「ココラインとボタンの魔女」を観ていて、それがとても面白くてびっくり。そちらはかなりブラックでシュールな物語でしたが本作はガラリと変わってアドベンチャーファンタジー

ビッグ・フットと呼ばれるキャラクターは見てのとおり愛嬌たっぷりで、お人よしで、話もすれば字も書けるし(独学だそうで)、ユーモアのセンスもあるという、ある意味破天荒な設定の愛すべきキャラ。これまた破天荒で野心満々の冒険家ライオネル卿も憎めない男。

ま、それほどひねったストーリー展開ではないけれど気楽に楽しめる1本であり、何よりもこれほどの手間をかけて作る製作者の熱量に感服した次第です。

 

🎬「ばるぼら」80点(B)

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1970年代に手塚治虫ビッグコミックに連載した漫画の実写化。

マンガはこんな感じです。

 

 

もちろん私は手塚マンガで育ちました。

鉄腕アトムジャングル大帝リボンの騎士火の鳥・・・。

1970年代、「COM」と「ビッグコミック」を買うことができる年になり、手塚治虫のアダルト向け作品も読めるようになりました。

手塚プロが発刊していた「COM」はマンガの可能性を真摯に追究するような作品に満ちていました。石森章太郎氏、永島慎二氏らが連載し、竹宮恵子氏や能條純一氏らはCOM出身。

ビッグコミック」は最初のころグラビアページがあって、デビュー間もない秋吉久美子さんのセミヌードを見て大興奮した覚えがあります。

で、「ばるぼら」は年代的には「奇子」よりも後なんで、連載中に読んでいたはずなのですがあまり記憶がなく・・・。子供だったんでよくわからなかったんだろうなあ。

個人的には「奇子」よりもさらに前の「きりひと賛歌」を後に単行本で読み、これが手塚作品のベストじゃないかと思っているので、こちらを実写化してほしいのですがこれこそ実写化不可能でしょう。

大人になって手塚作品を俯瞰してみて天才・手塚治虫の苦悩が作品の中に現れているのが見えてきました。マンガ界を牽引してきたその才能は色褪せることはないけれど、自らが拓いてきたマンガの道から発展した劇画の潮流に手塚治虫は近づこうとしたでしょう。ストーリーも絵もマンガから変えられないか、と悩んだでしょう。

その葛藤のはざまに描かれた作品の多くが1970年代にあると思っています。

ばるぼら」の主人公は小説家ではあるけれど、手塚治虫自身なのかもしれません。

それまでマンガで描き続けて圧倒的な支持を得てきた良識や正義や愛をないがしろにするわけではないにしろ、人間の狂気、欲望、多面性、独善性やらをマンガで表現できないかと苦闘しているすがたが「ばるぼら」の中に見えてくる気がしました。

ばるぼら役の二階堂ふみ。朝ドラ「エール」が放映中にもかかわらず、大胆な演技を見せてくれています。といっても彼女は「地獄でなぜ悪い」でとんでもない化け物じみた役を演じているのを見てますのでえっ?という違和感はまったくないのですが。

稲垣吾郎ちゃんはすでに性格俳優的な役が多いので違和感はなし。でも吾郎ちゃんの作品としては「半世界」での演技が良かったなあ。

ムネーモシュネー役の渡辺えりさんがハマりました(#^^#)

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ムネーモシュネーギリシャ神話の記憶を神格化した女神だそう