4月初めに観ていながら簡単には記事にできない気がして保留していましたら、4月25日に大方の予想通りアカデミー賞受賞。
そのおかげか、今になって上映館も回数も増えています。よかったよかった(^^♪
映画って、その時代を反映したものと時代を超えて普遍的なものの二つに分かれると思っています。いわゆる「名作」として永く愛されるものは後者の方が多い。とはいえ、前者的な作品は爆発的な面白さがあったりする。
「ノマドランド」はその両方が絶妙に加味されていていると思うわけで、今の世界(きっとアメリカ固有の問題じゃないのだろう)の自由と不自由のあいまいさや人のつながり方や大きな喪失のあとに人はどう向き合って生き続けていくのが正しいのか等々を淡々と描き切ったこの映画の見事さは脚本・監督の手腕もさることながら、主演のフランシス・マクドーマンドの存在感によるものが大きい。
「スリー・ビルボード」でも見せた鋼のような人間性を内在する個性の上に、さらに大いなる諦観と人間愛に満ちた人間をさりげない演技、表情で見事に表出していて本当に見事だと思います。
そして、ブルーを基調として決して明るい色調ではないのに圧倒的に美しい映像。これもまたこの映画の普遍性を高めています。
「私たちはホームレスじゃない。ハウスレスなのよ」と言い放つ潔さは、逆説的には現代社会における真の意味のホームとは何かを問うています。
観終わって心浮き立つことはない、かといって衝撃に打ちのめされるわけでもなく、深い余韻に浸って言葉を失う。そんな1本でした。
余談ですがこの映画の頭に出たのは「サーチライトピクチュアーズ」
今更ですが姉妹会社20世紀FOXは20世紀スタジオと名を変え・・・。
さらに21世紀FOXも存在するんですね。
これはもう、ついていけん。