拾われた男

このドラマは秀逸でした。

俳優・松尾諭氏の半自伝的ストーリーでありながら、家族と向き合うさまはごく普通の一人の人間であり、とはいえ兄の存在によって普通じゃない状況に陥って右往左往するのですが、その普通さと普通じゃなさを「普通」に演じている仲野太賀さんがすごい。

この人、どこにいても何を演じてても「太賀」ではあるんだけどその場への溶け込み方が半端じゃない感じ。かつての名優たちとも(フランキー堺とか渥美清とか)肩を並べるようになるのではないかくらい私は思ってます。

阪神タイガース太巻きをこよなく愛し、不器用で時代遅れで頑固で意地っ張りな父親役の風間杜夫さんのしたたかな演技もすばらしい。

何を考えてるのかまったくわからない兄役の草彅つよぽんは相変わらずの独特の存在感。

諭の妻役の伊藤紗莉。きっぷが良くてサバサバしてるが情に厚く寂しがりという役がぴったり。「ひよっこ」の米屋の娘役からステージアップして来年秋には朝ドラヒロインじゃないかと私は睨んでます(^^♪

他の出演者も超豪華でした。鈴木杏さんの使い方とか贅沢ですよね。

 

「家族の再生」を描くドラマや映画は数多くありますが、このドラマでは「再生」はなく、「変化」があるだけ。

ドラマ最終話の中で語られるように、家族って「家族っぽさ」を一生懸命保とうとしている、というのがとてもよくわかる。それを苦痛に感じるのも。

すでに家族を失っている私にはもちろん「再生」はありえないし、多くの人が認めたくはないけど同じように感じるんじゃないかなとも思います。

最終話を再放送も含めて二度見たのですが涙があふれて仕方ありませんでした。

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