20世紀初頭のジョージア州。
人種、男女、父(夫)権主義、DVというあらゆる差別の中に生きる女性たちの苦難を想像するのも難しい。
1985年のスピルバーグ監督版「カラーパープル」と比較するとミュージカル化したことによってその深刻さや残酷さはやや薄れたかもしれない。しかしそれはアメリカが抱える多人種問題をテーマに置いた「ウエスト・サイド・ストーリー」にしても最初からミュージカルの形で描かれながら「差別」の愚かさを確かに伝えていた。
主人公セリー(ファンティジア・バリーノ)、友人となる歌手ジュグ(タラジ・P・ヘンソン)、息子の前妻ソフィア(ダニエル・ブルックス=アカデミー助演女優ノミネート)の存在感、歌唱の力感は圧倒的で、家族の絆と愛と希望がストレートに伝わる作品となった。