春の墓石

十数年のあいだずっと気にしていたことを先日ようやく果たすことができた。

 

平成18年に、別府で暮らしていた合唱仲間が亡くなった。

クリスチャンだった彼が眠るお墓が「長崎県のとある教会の墓地にある」ということを葬儀のかなりあとでご家族の方から聞いていて、それはいつか墓参しなければと思っていた。

 

サクラが満開、良く晴れた外海道を走ること2時間半。

正午過ぎに目指す教会に着いた。

事前に教会に電話したときに、葬られている方の墓地の管理は教会ではしていないので探してもらうしかないというふうに言われていたのだが、墓地そのものの場所(教会の敷地内にはない)は教会に尋ねてみるしかない。

御在宅だった神父さんからおおよその地名場所を伺い、とりあえずまた走ってみる。

10分ほど走って、伺った地名のあたりに到着。

山あいの道路脇に民家のような地元の公民館を見つけ、そこに車を停めた。

しかし、誰かに尋ねようにも人影がまったくない。困った・・・。

仕方なくGoogleアースで検索を試みたが、森と畑と道路しか判別できない。

 

とそのとき、公民館に一台の車が入ってきて、なぜか野菜を抱えた男性が降りてきた。チャンス!

慌てて車を降り、事情を説明したところ、「あ~、たぶんあそこのことでしょう」

「この道をず~っと下ると十字路になりますから、それを右に、ちょうどあの山の下を走る感じに進んで登り切ったら右に、また下って、また登った辺りに右に入るせまい道があるんでその先だと思いますよ~」

 

了解しました!たぶん。

 

そして言われたとおりに走っていると・・・。

 

あっ 

畑の先に墓地が!

あれじゃね?!

 

おそらくトラクタが通るための道路の行きどまりに、30ほどの墓石が並ぶ墓地に到着。青空の下、鳥のさえずりだけが聞こえる本当に静かな山あいに、教会の方向に並んで立つ墓石たち。

 

その中から目的のお墓を探すのにそれほど時間はかからなかった。

 

やっとたどり着いたよ。遅くなっちゃってごめんな。

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神父さんの話の感触では今日一日で見つけることは難しいかもと半ばダメ元のつもりで来たけれど。

 

ここに導いてくれた公民館の男性こそが、この日の僕たちにとっての「神」だった。