今年1本目は「ポトフ 美食家と料理人」
原題は「La Passion de Dodin Bouffant (The Pot-au-Feu)」
「ドダン・ブッファンの情熱(ポトフ)」
19世紀後半のフランスの片田舎を舞台に、高名な美食家であるドダンと彼が考えるレシピを完璧に実現する料理人ウージェニーとの愛の物語。
自然光を駆使した映像は全てが絵画のように美しい。
登場人物すべての佇まいが美しい。
使用人が料理を運ぶ足取りさえもノーカットで映す手法はさながらドキュメンタリーのようにも思わせる。
さまざまな料理の行程(工程?)が事細かく描かれるので、なんとなくあんな味なんだろうなあとかあんな食感なんだろうなあと思うのだけど、残念ながら本場の本物のフランス料理を食べたことがないのでその奥深さは想像するしかない。
ソースを作るためだけにあれほどの食材を使うのもびっくりなんだけど、逆に日本食における(簡素な)昆布と鰹出汁って偉大だよなあと思ったりもする。
どなたが言ってたか忘れたけど、「西洋の文明は積み上げることで作られ、東洋の文明は取り除くことで作られる」みたいなことを聞いたことがあります。
料理もそれに通じるのかな。
美しき料理人、ウージェニー役は「ショコラ」のジュリエット・ピノシュ。
湯気が立ち昇る。鍋がぶつかる音、食材を切る音、焼く音、煮込む音だけが響く厨房。
料理にかける静謐な情熱が充ち溢れている映画です。