勘違いしてはいけない。これはエルトン・ジョンの伝記映画ではなく、「ロケットマン」を描いた映画なのだ。
エルトンはまだ存命であるに拘わらず、ここまでダメダメ人間であることを吐露し、それを補って余りある楽曲の素晴らしさ。
それはまるで「アマデウス」におけるモーツアルトの描かれ方と重なる。
使われる曲がすべてエルトンの名曲ばかりなのだから、ミュージカルとしては最上だ。「土曜の夜は僕の生きがい」のワンカットで描かれる群舞シーン、聴衆と共に宙に浮かび上がるコンサートシーン、「Your song」が生まれるシーン、どれも心が震える。
エルトン役のタロン・エガートンがすべての楽曲を歌っているのだが、これが相当に上手いのに感服。(もちろんエルトン本人の歌声には及ばないが(^^;))
ラストの20分近く、ずっと目が潤んで仕方がなかった。そんなことは「チョコレート・ドーナツ」を観たとき以来だったな。
だれだって愛されたい。抱きしめてもらいたいんだ。それだけが願いだったんだ。