イタリアの作家パオロ・コニェッティの世界的ベストセラー小説を映画化し、2022年・第75回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した大人の青春映画。
147分と、かなり長尺の映画でした。わずか１週間の上映でしたが観に行けてよかった。
原題は「Le otto montagne」（八つの山）。
この意味は映画の後半に明らかになります。
自然と都会、生涯の友、息子と父親、家族。
人は多かれ少なかれ葛藤を抱えながら自分の居場所を探し続けます。それが見つかる人もいれば見つけられない人もいるわけで、しかし見つけたから必ずしも幸せというわけでもなく、見つからないから必ずしも不幸せというわけでもなく。
僕のようなノーテンキな人間は流れに任せてその場その場で居場所を見つけている気になっていますが、こんな映画を観てあらためて自分の人生を見直したりするわけです。
映像はどのシーンも美しい。輝かしい夏の山も雪に埋もれる冬の山も。
子犬の戯れのように無邪気で掛け替えのない少年時代。山歩きをこよなく愛し、それを息子と共有したい父親。そんな父親に反発する息子。長じて父の想いを知り「八つの山」を探し求める・・・。
そんな「風景」を淡々と描き続けるこの手の映画は絶対に映画館でしか巡り合えない。
もし機会があればじっくりと観てみてね。
