ザ・クリエイター 創造者

これはどう観たらいいのか考え続けながら観ていた。
寓話なのか壮大なる未来予知なのかそれとも単なるSFとして観ればよいのか。
映画を前もって下調べして観ることはほとんどしないのでほぼ知識ゼロの状態で観たのが悪いのか。

東アジアの風景の中に巨大なA.Iの建造物がたしかに存在し、A.Iの後頭部に空いた空洞のビジュアルもインパクト充分でその見事な映像技術だけでも見応えがある。

A.Iを守り抜こうとするアジア代表リーダー格の渡辺謙さんもA.Iなんで頭に穴空いてます(^-^;


22年前にスピルバーグが描いた「A.I」は近未来のピノキオであったと思うし、キャメロンが造りだした「ターミネーター」の世界観はA.I化への警鐘だった。
「ザ・クリエイター」はもちろんそのどちらとも全く異なって(もしかしたらどちらにも共通しているのか?)A.Iを描きながら極限の人間の愛を描いていると言える。
背景として、A.Iによってロスアンゼルスを廃墟にされた(と信じている)アメリカはひたすらA.I撲滅に血眼になり(その設定自体はたとえばアルカイダによる同時多発テロをイメージされたものかもしれない)、実はA.Iはアルカイダと違ってアメリカを、人類を敵対視してはいないし、その存在は人類のはるか高みにあって人類との対決などとは露とも思っていない。主役の一人であるA.Iの少女アルフィはもはや「神」に近い存在(イメージとして大友克洋の「童夢」や「アキラ」の影響が色濃い気もする)とも見える。

新・東アジア(タイ、ベトナムカンボジア、ネパール、ミャンマーチベットなどをイメージ)の人々だけがA.Iを理解し、共存を果たしているのは宗教感の違いなのだろうか。

これまでの人類vsA.I作品と一線を画する本作は、僕たちに「異質なものを受け入れるチカラ」を持っているかを問うている映画なのかもしれない。


www.youtube.com