石田組の13人

「硬派弦楽アンサンブル石田組ツアー長崎公演」に行ってきました。

 

神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席ソロ・コンサートマスターである石田泰尚組長率いる男性のみの弦楽合奏団。

メンバーはステージの度に入れ替わるということですが、いずれも石田氏が信頼し、石田氏を慕うメンバーが招集されます。

 

組長石田氏は見てのとおりのコワモテながら間髪を入れず繰り出されるそのアンサンブルは時に繊細、時にエネルギッシュ。古典から現代曲(プログレッシヴロック含む)まで、まるでうららかな田園やきらびやかな宮殿に吹きわたる優雅な風を感じていると思うと一転、雷鳴とどろく嵐の真っただ中に叩き込まれるようなとんでもない音楽空間が繰り広げられます。

1stのグリーグ「ホルベルク組曲 作品40」の第1曲「前奏曲」、第2曲「サラバンド」ですでにその音色の美しさに涙腺が緩んでしまう・・・。

休憩をはさんでバルトークルーマニア民族舞曲」は石田組の本性が徐々に解放されるグルーブ感とスピード感に満ちてくる。

そして時代は現代、ピアソラのタンゴ~レッド・ツエッペリン「天国への階段」・・・

これは本当に白眉で、石田氏が奏でる繊細極まりないメロディから始まってドラマティックなアンサンブルまで瞬きもできず。

 

アンコールも(してくれるのかちょっと不安を感じつつ)、しっかりやってくれました。ビゼーアルルの女」から「ファランドール」、「夏の思い出」と思いきや井上陽水「少年時代」、そしてクイーン「ボーン・トゥ・ラブ・ユー」。

 

弾き終えると一瞬の会釈ののち間髪入れず足早に一人引き上げる石田組長。

そのあとにぞろぞろと付き従う12人のメンバー。

メンバー紹介。石田組長がマイクを持ち、一人ひとりの名前を呼ぶと客席に一礼したのちに石田組長に向かって深々と一礼をするさまが何とも可笑しくて。

(コンサートでは必ずやるみたいですが)


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石田組のメンバーもそれぞれ楽団に所属してたり、ソロ活動していたりする手練れのプレイヤー揃いなわけで、そのアンサンブルの見事さは言うまでもなく、弦楽器のアンサンブル特有の純正律ハーモニーの正確さに耳が浄化させられました。

クラシック楽器という武器を持ち、現代を生き抜く覚悟の清々しさ。

あらためて音楽とは何かということを思い起こさせ、同じ時間と空間を共有するライブ音楽の高揚感を一点の疑問もなく感じさせる、稀有な音楽集団「石田組」に今後も大注目していきたいと思いました。