2020年の映画を振りかえってみたりする~その⑦

🎬「ミッドナイトスワン」92点(A)

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憑依型俳優、草彅君の代表作になりましたね。

ラストで主人公を殺すことに様々意見があるようですが、僕らは製作者側からのメッセージを受け入れるしかないわけで凪沙の愛が一果に引き継がれていくことを願うしかないのだと思います。

一果役の服部樹咲さんの輝きの描き方が実にすばらしい。
実話をベースにした名作「チョコレートドーナツ」(2012)で抱かされたいたたまれない悲しみや憤りが、この映画で少しだけ昇華されたような気がしたのは楽天的すぎるでしょうか。
2020年に関係なく記憶されるべき邦画の1本だと思います。

 

🎬「スパイの妻」88点(A)

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コロナ禍で洋画の新作がなかなか入ってこなかったとはいえ、邦画の秀作が続きました。
もともとテレビドラマとして作られたものだったと認識していますが、それであっても実に丁寧でストーリーもとても面白い。
高橋一生の持つミステリアス感、蒼井優の時代感を醸し出す佇まいも見事。
日本映画のあるべき方向性が示された秀作だと思いました。

 

🎬「罪の声」90点(A)

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邦画3連発。これもまた面白かったですねえ。
グリコ・森永事件をモチーフにした塩田武士の小説の映画化。
「これは、自分の声だ」
京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだった――。(「講談社BOOK倶楽部」より)

 

主演二人の関係性が変化していくところが良かったですね。

謎解き的には真犯人の犯行の動機が少々脆弱な気がしたのは否めませんが、それはこの映画の本質ではないと思うので拘らないことにします。

登場人物たちの関りが明らかになっていくプロットは十分に楽しめましたし、何よりも小栗旬がいい感じの役者さんになってきたなあと感服した次第です。