「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督が、師であり友でもある映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネに迫ったドキュメンタリー。
こちらは「エブ・エブ」と全く違う意味で情報量の非常に多い映画でした。
157分というかなりの長尺ではあるけれど、それでもなにせモリコーネの仕事量が多いのでトルナトーレ監督も編集に苦心したのではないかと思います。
映画音楽家として巨匠と呼ばれたモリコーネではあるが、そう呼ばれることも、それに留まることも諾としてはいなかったのでしょう。イタリア音楽界の重鎮であるペトラッシに学び、現代音楽作曲家としての道こそモリコーネが目指したものだったのかもしれませんが、とはいえ「映画音楽」の概念を大きく変え、昇華させたことによってモリコーネは伝説に成りえたのも事実。近年音楽が流れない映画も見かけますが、それは無音であることによって画面に緊張感をもたらす効果を狙っていることは明らかであり、それは取りも直さず音楽（BGM）が映像に多大な影響をもたらすことの裏返しにほかなりません。
まるで分厚いアルバムをめくるように紹介されて流れる1シーン１シーンに、それぞれの映画のことをこちらの脳が思い出すわけで、その量が多い上にその映画に応じた作曲技法やモチーフの説明（けっして小難しいわけではないです）もあり、それらすべての情報量がとにかく半端ないのです。
映像と音楽が一体となってその映画の思い出となる。
あらためてその事実を思い知らされ、心地よい疲れを脳に感じながら見終われた映画でした。
それにしてもキューブリックが「時計仕掛けのオレンジ」をモリコーネに交渉した、という話はびっくりだな。なにせ主役の変態野郎アレックスは「ベートーベン命」ですからね(^-^;
おっと、長崎セントラル劇場では今日（３月９日）までだ！
